証券アナリスト1次試験の概要と対策方針。過去問の取捨選択

結論から言うと、1次試験は過去問でよく出る部分だけを確実に取り、残りは選択肢を絞って期待値で稼ぐ試験です。全科目の共通ルールは「協会のテキストは開かない、過去問の一部に絞る、絞った部分を3回解く」。科目の順番は財務分析 → 経済 → 証券分析が無難です。

1次試験の概要

1次試験は次の3科目です(2026年度の協会公表値)。

科目学習分野試験時間・配点
科目Ⅰ証券分析とポートフォリオ・マネジメント170分・170点
科目Ⅱ財務分析、コーポレート・ファイナンス(配点はおおむね3:1)100分・100点
科目Ⅲ市場と経済の分析、数量分析と確率・統計、職業倫理・行為基準(配点はおおむね6:2:1)90分・90点

出典:日本証券アナリスト協会「スタディ・ガイド 第1次レベル 2026年10月版」

科目Ⅰ(証券分析)が他の2科目より圧倒的にボリュームがあります(証券アナリスト試験なので当然ですが)。

出題は正解が1つの選択肢形式(計算問題・穴埋めを含む)で、2026年秋試験から国内はCBT 方式(テストセンターのパソコンで受験)になりました。合格率は科目ごとに4〜5割で、難易度は低めです。合否は上位一定割合の平均点を基準にした相対評価ですが、例年6割前後取れている人は全員受かっているので、6割を合格ラインの目安と考えてください。

科目合格制なので、1科目ずつ受かっていくこともできます。年2回(春4月・秋9月)チャンスがあり、受講翌年から3年間有効です。1年(2回)以内に3科目そろえば最短での取得に間に合うので、知識のない人や、業務が忙しくて勉強時間が読めない人は、まず2科目に集中する戦略も有効です(証券分析と財務分析は関連が深いです)。

※科目Ⅲには「職業倫理・行為基準」が含まれ、ここの得点が一定水準に達しないと、科目Ⅲの総得点が合格点を超えていても不合格になります。詳しくは科目Ⅲのページで。

試験対策の概要:取捨選択がすべて

すべての科目に共通する特徴として、過去問と同じ型の問題が6割以上出ている点が非常に重要です。

また選択肢形式なので、選択肢を絞れればそれだけで得点が上がります。最悪、何もわからなくても期待値の付く問題が多いわけです。目安として、半分の問題を確実に正解できれば、残りを選択肢4つから当てずっぽうで答えても 50+12.5=62.5点の期待値となり、合格ラインに達します。

これを踏まえて、過去問でよく出る部分を分析し、そこに集中して確実に得点し、それ以外は選択肢を絞って期待値を上げるという戦略で十分です。すべてを確実に取るのは専門家でも難しいほど範囲は広いので、メリハリを付けて合格を見据えた勉強をすれば、短期でも受かります。悪く言えば「受かればいい」ということです。

つまり、1次試験の肝は取捨選択で、勉強する以前の問題です。重要度の違いがわからず、何から何まで全部やろうとする人ほど、よく落ちます(全部やれる人はもちろん受かりますが、そう多くはありません)。まずは得点を効率よく上げることに専念しましょう。

勉強方法の概要

詳細は科目別のページに書きますが、共通するポイントは次の4つだけです。

私が若手向け勉強会でやっていることは、過去問を勉強する順に確認テストするだけです。要は、勉強する範囲と順序を誘導し、勉強したか確認するだけです(あとは質問に答えたり、わからないトピックの入門書を紹介する程度)。

①まず重要な部分に集中し、②それ以外は余裕があればやる。この順序を忘れないでください。当たり前に見えますが、効率を考えず、本があれば頭から進むだけの非効率な人は非常に多いです(大手金融機関のサラリーマンの特徴かもしれません)。

なお、余裕があるなら、TAC の過去問題集を1冊まるごと何度も解いて解答を覚えてしまえば、余裕で合格ラインを超えます。TAC の過去問はテーマごとに問題がまとまっていてムダが少ないので、範囲を絞る短期合格には使いやすいです。

予備校(TAC・LEC など)の講座は、謳い文句に乗せられてすぐ申し込むのではなく、「テキストや過去問を読んでもわからない」+「周りに教えてくれる人がいない」+「どうしても取りたい」の3つがそろったときに初めて検討する、くらいでよいです。

科目別の対策ページ

勉強する科目の順番:財務分析 → 経済 → 証券分析

文系で経済の知識がなく、数式が苦手な人は、勉強する科目の順番に気をつけましょう。証券分析から始めると、最初でつまずいて続かなくなりやすいからです。

おすすめは、財務分析 → 経済 → 証券分析の順です。

まず四則演算レベルの計算と暗記がメインの財務分析で、証券分析と共通する論点(株式価値評価など)を学びます。次に経済で数式と金融の専門用語に慣れ、そのうえで証券分析に本腰を入れます。財務分析は簿記に通じる部分が多く、やりやすいという人が多いです。2次で最も重い証券分析を最後にやる方が、2次の勉強に入ったとき忘れている部分が少ない、という含みもあります。

経済学部の人は経済から、理系の人は(ミクロ)経済か証券分析から、でもかまいません。要は、自分が一番ストレスの少ない科目から始めることが、モチベーション管理ひいては効率的な勉強につながります。最初でつまずいたらやる気が起きないのは、人間として当たり前です。