1. 信用取引とは(二種の復習)
信用取引は、証券会社に保証金を預けて、お金や株を借りて売買する取引です。自分のお金で買う「現物取引」と違い、手元の資金の約3倍まで取引できます。
- 買建(信用買い):証券会社からお金を借りて株を買う。値上がりで儲かる。
- 売建(信用売り・空売り):証券会社から株を借りて売る。値下がりで儲かる。
- 二種外務員は、一種外務員(または信用取引外務員)が同行しているときだけ信用取引の注文を受けられます(二種の職務範囲)。
2. 制度信用取引と一般信用取引
| 項目 | 制度信用取引 | 一般信用取引 |
| ルールを決めるのは | 取引所 | 証券会社と顧客の合意 |
| 返済期限 | 6か月 | 自由に決められる(無期限も可) |
| 対象銘柄 | 取引所が選ぶ「制度信用銘柄」 | 証券会社が決める |
| 品貸料(逆日歩) | 取引所の規則で一律に決まる | 証券会社と顧客で決める |
- どちらを使うかは、顧客が注文のたびに選びます(証券会社が勝手に決めてはいけません)。
- 制度信用銘柄は取引所が選びます。新規上場の銘柄は、上場して最初の約定値段がついた日の翌営業日から制度信用銘柄になります。
- 制度信用銘柄のうち、証券会社が証券金融会社から株を借りてこられる銘柄を貸借銘柄といいます(貸借銘柄も取引所が制度信用銘柄の中から選びます)。
- 証券会社は、制度信用取引を始める顧客について「取引開始基準」を定める義務があります。
3. 委託保証金(数値はこれだけ)
| 項目 | 数値 |
| 保証金の率 | 約定代金の 30%以上 |
| 最低額 | 30万円 |
| 差し入れる期限 | 約定日から起算して 3営業日目の正午 までの、証券会社が定める日時 |
| 維持率(これを割ると追証) | 20% |
| 有価証券での代用 | 全額を有価証券で代用できる(上場株の掛目は80%) |
- 保証金は現金でなくてもよく、株や国債などの有価証券で全額代用できます。代用するときは時価に「掛目」をかけた額で評価されます(上場株は80%。他の種類は証券ごとに決まっています)。
- 保証金から、計算上の利益分を引き出すことはできません。
- 株価が下がって保証金の価値が維持率(20%)を割ると、追加で差し入れる「追証」が必要です(計算は信用取引の計算)。
4. 誰が払って、誰がもらうか(○×の定番)
信用取引のコストは4つあります。「借りた側が払う」と覚えれば迷いません。
| 名前 | 何のお金か | 払う人 | もらう人 |
| 金利 | お金を借りた代金 | 買方 | 証券会社(売方は売却代金に対する金利を受け取る) |
| 貸株料 | 株を借りた代金 | 売方 | 証券会社 |
| 逆日歩(品貸料) | 貸す株が足りないときの追加料金 | 売方 | 買方 |
| 配当落調整額 | 配当の代わり | 売方 | 買方 |
- 金利の計算期間:新規の売買が成立した日から起算して3営業日目(受渡日)から、返済の受渡日まで。両端入れ(両方の日を数える)です。
- 逆日歩:売建が多すぎて貸す株が足りなくなると、証券金融会社が株を調達するコストが「逆日歩」として売方にかかります。買方はもらう側です。
- 配当落調整額:株を借りて売った人は、本当の株主ではないので配当をもらえません。その代わりに、売方が配当相当額を払い、買方が受け取ります。
5. 返済(決済)の方法
| 建玉 | 反対売買で返す | 現物で返す |
| 買建 | 転売(売って差額で決済) | 現引き(お金を払って株を引き取る) |
| 売建 | 買戻し(買って差額で決済) | 現渡し(持っている株を渡す) |
6. ○×で出る「ひっかけ」
- 「PTS(私設取引システム)では信用取引はできない」→ ×。できます。
- 「制度信用か一般信用かは証券会社が決める」→ ×。顧客が注文時に選びます。
- 「逆日歩は買方が払う」→ ×。売方が払って買方が受け取ります。
- 「売方は金利を受け取れない」→ ×。売方は売却代金に対する金利を受け取ります(制度信用でも金利は証券会社が自由に決めます)。
- 「金利は片端入れで計算する」→ ×。両端入れです。
- 「保証金は全額を有価証券で代用できない」→ ×。全額代用できます。
- 「計算上の利益分は保証金から引き出せる」→ ×。引き出せません。