証券外務員二種の計算③財務。損益分岐点と配当性向は式2本

財務諸表と企業分析は全体で約20点です。1問10点の5択は「損益分岐点」か「段階利益(経常利益)」の計算が定番なので、このページのステップだけ押さえて10点を確実に拾いましょう。

1. 損益分岐点売上高(赤字にならないギリギリの売上)

5択の計算の定番です。公式を4本バラバラに覚えるのではなく、以下の3ステップの流れでそのまま解きましょう。

【腑に落ちる仕組み】
費用には、売上に比例する変動費(材料費・仕入代など)と、売上がゼロでも毎月かかる固定費(家賃・人件費など)があります。まず「売上から変動費を引いた利益の割合(利益率)」を出し、その利益率で固定費を割れば、「いくら売れば家賃などを払ってトントン(利益ゼロ)になるか」が出せます。

ステップ1:限界利益 = 売上高 - 変動費

ステップ2:限界利益率 = ステップ1の数字 ÷ 売上高

ステップ3:損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ ステップ2の数字

※追加で「損益分岐点比率(%)」を聞かれたら、「ステップ3の数字 ÷ 実際の売上高 × 100」で出します(この数字が低いほど、赤字になりにくい優秀な会社です)。

  1. 問題例:売上高800億円、変動費320億円、固定費300億円
  2. ステップ1(売上から変動費を引く):800 - 320 = 480億円
  3. ステップ2(売上で割って率を出す):480 ÷ 800 = 0.6
  4. ステップ3(固定費を割る):300 ÷ 0.6 = 500億円(損益分岐点売上高)
  5. おまけ(損益分岐点比率):500 ÷ 800 × 100 = 62.5%

2. 段階利益(「経常利益」だけ計算できればOK)

損益計算書(P/L)の5つの利益は、上から順番に費用を引いたり足したりするだけです。試験の計算問題では3番目の「経常利益」を求めさせる問題がよく出ます。

順番と利益の名前計算のやり方覚え方のポイント
① 売上総利益売上高 - 売上原価いわゆる「粗利」
② 営業利益① - 販売費及び一般管理費(販管費)本業で稼いだ利益
③ 経常利益② + 営業外収益 - 営業外費用【最頻出】受取利息を足し、支払利息を引く
④ 税引前当期純利益③ + 特別利益 - 特別損失たまたま出た利益・損失を足し引きする
⑤ 当期純利益④ - 法人税等税金を払った後の最終的な手残り

【絶対に引っかからないルール】
「経常利益」を聞かれたときは、問題文にある「固定資産売却益(特別利益)」や「災害損失(特別損失)」や「法人税等」はすべて無視しましょう。これらは経常利益より下の段階で使うダミー数字です。

  1. 問題例:売上高1,000、売上原価600、販管費250、受取利息10、支払利息30、固定資産売却益20、法人税等45(単位:億円)のときの「経常利益」は?
  2. 売上総利益:1,000 - 600 = 400
  3. 営業利益:400 - 250 = 150
  4. 経常利益:150 + 受取利息10 - 支払利息30 = 130億円(※固定資産売却益20と法人税45は無視!)

3. 配当性向と内部留保率(利益のピザをどう分けるか)

計算①株式のROEなどとセットでよく出る計算です。

【腑に落ちる仕組み】
会社が1年で稼いだ「当期純利益(100%)」という1枚のピザを、「株主への配当金に何%回し、会社の貯金(内部留保)に何%残したか」を見ているだけです。つまり、2つを足すと必ず100%になります。

配当性向(%)= 配当金 ÷ 当期純利益 × 100

内部留保率(%)= 100% - 配当性向

※似た名前の「配当率」が出たら、純利益ではなく「配当金 ÷ 資本金 × 100」で計算します。

  1. 問題例:当期純利益105億円、配当金42億円、資本金600億円
  2. 配当性向:42 ÷ 105 × 100 = 40%(利益の40%を株主に配った)
  3. 内部留保率:100% - 40% = 60%(残りの60%を会社に残した)
  4. 配当率:42 ÷ 600 × 100 = 7%

4. 安全性の指標と○×の引っかけ

○×問題や5択の選択肢消しで使う知識です。以下の表と3つのルールだけ頭に入れておきましょう。

指標の名前何を何で割るか高い・低いどっちが良い?
流動比率流動資産 ÷ 流動負債 × 100高いほど良い(すぐ払える資産が多い)
当座比率当座資産 ÷ 流動負債 × 100(※当座資産=流動資産から売れ残りの在庫(棚卸資産)を引いたもの)高いほど良い(より確実な現金が多い)
自己資本比率自己資本 ÷ 総資本 × 100高いほど良い(返さなくていいお金が多い)
負債比率負債(借金)÷ 自己資本 × 100これだけ「低いほど良い」(借金が少ない)

○×問題で秒殺できる3つの引っかけ